社会人アスリートという立場を強みに。わくわくワセダカップを支えた阪神酒販株式会社,田中さん北村さんの想い

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7月9(土)に早稲田大学レスリング場にて、「阪神酒販アスリートクラブ杯 第8回わくわくワセダカップ」が行われました。この大会は、特定非営利活動法人WASEDA CLUB(ワセダクラブ)が主催するダウン症児者と自閉症児者のレスリング交流戦で、1996年アトランタオリンピック銅メダリストの太田拓弥氏(早稲田大学レスリング部ヘッドコーチ)が代表を務めています。

 

昨年から、阪神酒販株式会社が「わくわくワセダカップ」の正式に協賛企業として、参加者への飲料・飲食の提供やメダルやトロフィーの費用などのバックアップをしています。この大会準備をしてきたのは、田中幸太郎選手(男子フリースタイル65kg級)と北村公平選手(同74kg級)です。ともに京都・京都八幡高校から早稲田大学へ入学、その後阪神酒販アスリートクラブと歩み、選手活動と営業業務を行う現役トップレスラーです。

 

今回お二人に、「阪神酒販アスリートクラブ杯」と冠をつけた経緯とスポンサー企業としての想い、アスリートと営業マンの二つの視点から話を伺いました。

 

 

【プロフィール】

 

阪神酒販株式会社

田中幸太郎(たなか・こうたろう):写真右側

 

1990年生まれ。京都府出身。小学4年生でレスリングを始める。京都八幡高校卒業後、早稲田大学に入学。4年生次には早大の主将を務めた。日本オリンピック委員会(JOC)が行っているアスリートのための就職支援「アスナビ」を活用し、2013年阪神酒販株式会社に入社。仕事をしながらレスリングに打ち込む企業アスリートとして活躍。主な実績は、2012年明治杯全日本選抜レスリング選手権大会優勝。今年行われた同大会ではフリースタイル65kg級準優勝となった。

 

阪神酒販株式会社

北村公平(きたむら・こうへい):写真左側

1991年生まれ。京都府出身。小学校2年生で競技を始め、高校2年次には高校5冠(高校総体・全国高校選抜・国体少年・全国高校生グレコローマン選手権・JOCジュニアオリンピックカップ)を達成。早稲田大学時代は、世界学生選手権準優勝をはじめ、国内では数々の大会で金メダルを獲得した。その後、「アスナビ」を活用し、2014年に阪神酒販株式会社入社。2015年天皇杯全日本選手権3位。2016年アジア選手権8位。

 

 

選手視点で大会のサポートを

――どのような経緯でわくわくワセダカップのスポンサーになったのですか?

 

<田中>今大会に出場した京都チームは、我々の出身校である京都八幡高校で活動しています。高校生の時に京都チームのサポート、早稲田大学在籍時には、ワセダクラブ・ワクワクレスリングをサポートしていました。大学卒業後、私と北村は運よく同じ会社に入ったこともあり、ワクワクレスリングに対して何かサポートできないかという話になったんです。その時に会社の部長から支援したら良いんじゃないかと言ってもらえ、会社の支援を受けられる形になりました。

 

 

――社会貢献としての取り組みなのでしょうか?

 

<田中>そこまで大げさにはないですが、参加している選手たちに飲み物一つでも提供できたらいいなという思いでやっていました。でも外から見るとそういうことかもしれませんね。

 

 

――大会スポンサーになったのが、お二人が社会人2~3年目の時だと伺いましたが、「わくわくワセダカップ」の協賛となる際に何か大変なこととかありましたか?

 

<北村>田中先輩が入社1年目から飲料提供などを支援しており、大会の協賛企業となることはワクワクレスリングの太田拓弥代表にも了承を得れたので、すんなりとできました。しかし、それに見合った支援やクオリティをどうやって上げていくか、保護者や関係者が「やって良かったな」、「来て良かったな」という風に思ってもらうにはどうしたらいいんだろうかという部分は、今後取り組むべき課題だとは思います。

 

協賛品
協賛品

 

――今回の大会では具体的にどのようなことに取り組んだのですか?

 

<田中>これまでの大会ではこれまでドリンクやグループ会社の食べ物を提供させて頂いていました。しかし、今大会ではモノとして形に残るようなものを作りたいと考えました。何かモノが残れば、それを見たときに、「あの大会の」という風に思い出としても残ると考えたんです。そんな時に、「Tシャツを作ったらどうか」と太田先生のアドバイスがあり、Tシャツを作りました。ドリンクみたいになくなったりしないので、「参加をして良かったな」「いい思い出になったな」というきっかけになるものが1つできたかなと思っています。

 

<北村>このTシャツを貰えるのはこの大会だけなので、同じ時同じ場所で試合をした仲間意識を持ってもらえたら良いですよね。大会に参加する方たちは、試合に出るのも楽しみなのですが、同じレスリングをする友達に会えることも楽しみにしています。それをTシャツという形に残して、次の大会に繋げられたらいいなという想いもあります。

 

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優勝選手と握手をする北村さん。オレンジ色が記念Tシャツ。

 

――お二人にとって思い入れのある大会だと思うのですが、スポンサー企業としてどのような思いであるのかを詳しくお願いします。

 

<北村>レスリングとダウン症の組み合わせは、なかなかイメージしづらいと思うんです。ダウン症と聞くと体力面で劣るので激しいレスリングなんてできないとか。そういったネガティブなイメージと現実のギャップを少しでも縮められたらといいなと思います。内気になりがちなものを外にむけるきっかけになれればという想いもあり、現在では協賛という形で支援をしています。そうして、交流の場が少しずつ広がり、大きな輪になることで、社会からの認知・理解につながればいいなと思います。

 

<田中>今我々ができることは選手をいかにサポートできるかというところだと思うんですよね。こういうイベントをやっている人がいるということを広めて、全国に仲間が増えればという想いはあるのですが、すぐに実行というのはなかなか難しいので…。まず取り組むべきは、やっている選手の環境であったり、親御さんの想いを忘れてはいけないことだと思います。懇親会をやると親御さんと話すことがあるのですが、涙を流して喜んでくれたりすることがたくさんあるので、現場で実際参加されている方あっての大会や教室だと思うんです。これだけは忘れないように、サポートの方法とかを考えないといけないなと考えています。

 

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田中さん:1列目右側、北村さん:同列左側。 参加チームの一つ「京都八幡クラブ」メンバーと。

 

社会人アスリートという立ち位置を強みにしたい

――話は変わるのですが、仕事とレスリングを両立されているということで、実際に厳しかったことはありますか?

 

<北村>私は、卒業してからもレスリングだけを続けようと思っていましたし、レスリングをやってオリンピックに出れば、自分の夢も達成できるし周りも喜ぶし良いんじゃないかってずっと思っていました。

 

ただ、1年上の田中先輩の活動を見たりしている中で、オリンピック出た後に何が残るっていうのを考えて、レスリングは死ぬまでできなくて、どちらかというと引退した後の方が人生長いんじゃないかって考えたときに、競技から一般の社会人にスムーズ移行するためには競技を仕事の両立がいいのではないかと考えました。しかし、100%両立できているかというとそうではないと思います。実際に全日本で1位になれていませんし、数字も出せていないという課題はいっぱいありますが、それに挑戦することに意味があるのかなって思います。

 

競技だけをやっていればいいという考えを学生には持ってほしくないっていうのを今一番伝えたいですね。

 

<田中>仕事だけではなく、両立することが苦ではないですね。サポートをしてくれている方々に少しでも恩返しをし返していけたらと思っています。社会人になってからそう強く感じるようになったのですが、大学生までは結構自分にフォーカスが向くことが多かったんです。大学卒業をして親のサポートがなくなり、自分で生活をしていかなくてはならなくなったときに、これまで自分中心であったことが、いろんなところで支えてくれている方がいるからこそ、レスリングができていると感じるようになりました。

 

これまでは、親や先生、自分の目の見える範囲でしたが、社会に出てみるとワクワクレスリングの保護者、会社の方など、いろんな方がいろんな形で応援をしてくれているんですよね。自分にとってはなかなか見えにくい部分であったのですが、そういうところが見えてきて、自分の選択や考え方も変わってきました。いつも感謝の気持ちを忘れないようにしています。

 

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阪神酒販株式会社にて(提供 :田中幸太郎)

 

――最後にお二人から今後の展望をお願いします。

 

<田中>社会人とアスリートをいう二つの立ち位置があります。自分はその強みをさらに生かしていければいいなと日々思っています。会社に協力をすることが仕事とアスリート、今は二つの側面からできるので。

 

継続して行っていくとなると、やはりしっかりと計画をしてやっていかないといけない部分でもあるので課題もあります。支援をいただくだけではなく、どのように会社としてできるのかを今後考えていかなくてはと思います。将来的には、より規模の大きいスポーツ大会を行いたいと考えているので、一つ一つをクリアにしていき実際の形にしていきたいです。

 

<北村>会社の中にアスリートがいることで、少しでもプラスの効果があればよいと思っています。アスリートクラブにはレスリングだけではなく、他の競技を行っている選手も働いており、会社からの理解はありますが、もっともっと会社の活力になるような存在になりたいですね。会社の中にアスリートがいるという企業は大多数ではないので、僕たちがいることで相乗効果が生まれれば良いですし、私としてはスポーツの力を広めていきたいです。

 

 

会社の同僚であり、同じレスリング競技者であるお二人の想いに触れることができました。聞くと、暗黙の了解で役割分担があるそう。「階級が被っていないので助かっています」と笑いながらおっしゃっていたのが印象的でした。貴重なお話を本当にありがとうございました。

 

 

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